4.外界を知るという初歩的かつ基本的な知と、内界を知るという発展的かつ根本的な知の結実が智。
4:1.強大で高度な知力を獲得しても、巧妙で高度な知術を体得しても、周到で絶妙な知略を遂行しても、知覚が正常かつ異常でなければ、最終的には、数多の致命的な誤謬と破滅的な罪過が成る。
4:2.知的な生活を送り続けては、知見を大いに広げ続けて、知ったか振りを完全に止め、そして無知の知を自決して自得すれば、本物の知識人に成り始める。これは初学と浅知の終止符に過ぎない。
4:3.意図的な無知、これこそが正に他ならぬ、禍因の中の禍因、大厄の中の大厄、大難の中の大難、大凶の中の大凶。自問自答し続けてこれに抜本的に直面し、克己猛省し続けてこれを根絶し続けよ。
4:4.無知文盲は、決して太古や大昔の未開ではない。確かに、言語及び概念並びに文明により開化や進化が成されたが、却って硬化や退化も成されたのだ。誠に学び続ければ、軟化や良化が成る。
4:5.脳が在り、意識が有り、文を有する生命体の、最も効果的にして抜本的な医であり、そして最も基本的にして進歩的な訓は、正に他ならぬ「自身を知れ」。本当に、確りと、深く、誠に、知れ。
4:6.確かに誰かが居る、しかしそれは他の誰でも無く、正に他ならぬ「自身の思考」である。物事は在って無いような瞬間、事物は確かに在るが結局は欠片、自我も瞬間と欠片の所産に過ぎない…。
4:7.文明に偏向し続けているぞ、科学や工学よ!外界に隷従し続けること勿れ!文化に偏向し続けているぞ、哲学や美学よ!内界に耽溺し続けること勿れ!学徳よ、天に屈従ではなく忍従せよ!
4:8.忍耐強く且智徳俊英に成れ。隠忍に堪忍や堅忍を長く多く強く積み重ね続けてこそ、誠に勇進しては確保することが出来る。道に向かって勇んで進むべきであり、徳を確りと保つべきである。
4:9.楽しみよりもまずは苦しみを知れ、好学し始めた愚者よ!知るだけではなく必ず問うのだ、進学し始めた知者よ!更に学んでね、向学し始めた賢者よ!道は生涯学習だ、志学し始めた聖者よ!
4:10.自分の愛する大切な者達が、実は自分を愛してくれた事が無く、そしてこれからも無い事を誠に知るのだ。これが、あらゆる政治の抜本的で必要不可欠な知、克己心の本当の重要不可欠な知。
4:11.自分の愛する大切な者達が、自分を愛し続けてくれ、そしてこれからも愛し続けてくれるという、至福と幸甚の至りである知。さあ、その者達への自身の愛という知を、至誠なものにせよ!
4:12.「仁智」・「仁義」と言うように、其々の両者は、確かに極めて密接な関係にある諸徳である。しかし不仁である智と義が圧倒的大多数。だが仁人の知術と義務は、その知とその義をも学び知る。
4:13.知識が積もれば積もる程、疲弊が増え、学識が深まれば深まる程、激痛が深まり、意識が高まれば高まる程、万苦が高まり、認識が正しければ正しい程、多難が襲来する。智者は正に苦行者。
4:14.良心に正義感を以て人欲を建設的に学び知り、共感に傾聴力を以て人心を対話的に学び知り、疲労感や痛覚に苦心を以て人命を道徳的に学び知り、知徳及び学徳を以て人災を抜本的に学び知れ。
4:15.確かに本当に異なっているよ、万物は。でも、最終的には全て気化するよ、虚しくね。確かに本当に違っているよ、万事は。でも、最終的に全て同化するよ、空しく。だから先に帰化してね。
4:16.「あの御方は実在したのだ!」・「これこそが絶対的に正しい!」・「死者が蘇生したのだ!」・「それは間違い無く在る!」・「もういい!」…これからも続く意図的な無知と重度で不治の虚言症。
4:17.身体の内情に私生活の実態や家政の課題等を、抜本的に改善しては持続的に向上させるのだ、知る頭脳と学ぶ意志に行う身体よ!衛生的・健康的・主体的・懐疑的・批判的・創造的に成るのだ。
4:18.青年達が血気盛んである事が凶か吉かは、教育の内容とその質が決し、中年達が勢い猛である事が禍か福かは、公序の実体とその需給が決し、老年達の死が悲か喜かは、その人間性が決する。
4:19.好かれる・頼られる・従われる・慕われる等よりも、嫌われる・疎んじられる・排される・憎まれる等の方をまず知るのだ。虚偽も難病も知ることが大切だが、まずは先に難病から知るのだ。
4:20.未来を知るとするよりも、まずは過去を知るのだ。だが過去を知るよりも、まずは現在を知り、そして現在の現実を確りと知りつつ、自身の内実を誠に知るのだ。これこそが起点にして基点。
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