宝鑑

第Ⅲ章:物質;1

1.変化しつつ、また(とう)()されつつ、そして変異しつつ、深く(つな)がっては確りと遺伝していく物質。

1:1.元来の始まりは確かに常に外界からである。だがこれは精確に言えば「働き掛け」である。本当の始まりはやはり常に内界からである。これを「働きに出る」と言う。熱の本性は、常に出る力。

1:2.物質が変化する、これが「情報」と成る。物質を変化させる、これが「知識」と成る。物質を越えて求道する、これが「入神」と成る。物質と働きに出る、これが「現実を参じる自我」と成る。

1:3.精力的に批判しては、抜本的に否定して、徹底的に破棄し、そして革新的・創造的・進歩的に再出発する、これが仁の術・徳・道。精進すれば術を、本を正せば徳を、誠に続ければ道を、得る。

1:4.仁術に基づく医術に拠る政術、仁徳から成る医徳を有した政徳、仁道へと進む医道を志す政道。この修道を貫く知徳とそれから編み出される治術を実践躬行(きゅう)し続ければ、神術・神徳・神道が成る。

1:5.「修道」とは「今まで続いて来、今も続いており、今からも続く変化を観想しては、能量(エネルギ)()観照して、物質並びに事象及び現象を観測しつつ、求道心を以て我が道を探求する。」。己こそが拠点。

1:6.道は本来不道で、変化は全体的な上に統一的で包括的な一様。徳は本来不徳で、能量(エネルギ)()原始的な上に流動的で派生的な多様。一様に応じつつ一貫性を成して多様を自力へと転化させるのが修徳。

1:7.理は無力な実力で、本源的で隠微な中軸。気は有力な無力で、遍在する潜在的な原静力、性は受動的な原動力で、原始的で宿命的な中枢。中核は中枢を含有し、それに含蓄された質で形が成る。

1:8.外界に物質と能量(エネルギ)()遍在しているが、内界に、確かに物質ではあるが既にそうではない働きと、確かに能量(エネルギ)()はあるが実はそうではない流れが潜在し、意志即ち学つまり徳が両者を掌握している。

1:9.「流れる」という「事」、「集まる」という「核の引力」、「生じる」という「中の完成後」、「組成」という「物」、「為る」という「働き」・「形成」という事物、「作用」という物事。活性が機関。

1:10.不活性の成れの果ては、まず「逆」、次に「反」、また「抗」、そして「自滅」。活性の成れの果ては、まず「正」、次に「順」、また「融」、そして「摩耗」。硬軟を兼学しては、調和へと進め。

1:11.形体が成っては、形態が成して、形勢が遂げても、その実体が至誠で、その実態が修徳で、その実勢が積徳で無ければ、成功は(ゆう)無、実態は有毒、強勢は有害。無は実社会の原始的な実相。

1:12.巡り合わせで根本的な変化が生り、組み合わせで決定的な変化が為り、取り合わせで持続的な変化が成る。問い合わせで変化を生し、繰り合わせで変化を為し、答え合わせで変化を成すのだ。

1:13.(アッラー)に創られたという太初を誠に見倣っては、自ら善く道を創って、自らも徳に美しく創られるようにし、そして初心を忘れること無く、適時に返るように。事物と物事の両者を誠に兼学せよ。

1:14.公徳を以て物欲を切り、私徳を以て物心(ものごころ)(みが)き、知徳を以て物性を(みが)き、学徳を以て物理を磨き、仁徳を以て物質を適度にし、美徳を以て物量を適量にし、威徳を以て物情を調整し続けよ。

1:15.堅忍しつつも詰問し、知(しつ)しつつも下問し、成功しつつも()問し、これらを続けつつ学問を自ら続ければ、形から始めても、やがて徳が生じては、徐々に意が為って、最終的には道が成る。

1:16.情報は、物以上の事物にして物事以下の事。知識は、事物以上の物化にして物事以下の化学反応。事が物へと転化するのが物界から心界への途、物が事へと転化するのが心界から物界への道。

1:17.物質界に事実上存在せず、自然界にも根本的には存在しないにも拘わらず、生命感情は在り、道徳的で審美的な心機・知的で美的な頭脳・主体的で協力的な社会性がそれを善く美しく在らせる。

1:18.物質の適正な交代・持続的な補充・調和的な多様化を、現象の知的な精察・客観的な分析・主体的な認識を、中核の科学的な解明・哲学的な解釈・実践的な解析を、誠に確りと遂行するのだ。

1:19.哲学・科学・工学等の偉業を、知っては感動し、問うては感激し、学んでは感服し、政治・経済・教育等の罪業を、知っては自重し、問うては自省し、学んでは自省し、誠に盛徳大業を志せ。

1:20.心が物に有されては、荒廃して、発病してしまうのが文明の宿命。習俗で感覚が消え、形式で脳が狂い、関係で心が病むのが文化の宿命。自覚する文明人と自律する文化人に、誠に成るのだ。


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