宝鑑

第Ⅲ章:物質;5

5.(アッラー)を深く信じつつも、覚悟して決行せよ。定律に確りと依りつつも、自律して自らも創造せよ。

5:1.保健の基本は自助であり、保身の基盤は共助であり、保護の基礎は公助であり、保険も保証も保障も保守も保安も保全も、互助が根付いてこそ成り立つが、全く以て、全ての基本は自助である。

5:2.迷信に根差した自信・無知に根差した盲信、意図的な無知に根差した妄信・暴力に根差した狂信、悪知恵に根差した確信・悪循環に根差した誤信…抜本的な問題意識と徹底的な問題解決を成せ。

5:3.真実を知る者は滅多に無い。だが、それが問題ではない。問題は、真実を周知徹底できない事、それが出来ても信認されない事、それが出来ても解決されない事。先駆的な知識人と実践家に成れ。

5:4.必ずや()く確かめてから信じよ。ただし、それでも容易く一人で・深く・全面的に信じること(なか)れ。必ずや()く省みてから疑え。ただし、結果ではなく過程を、動向ではなく意向を、洞察せよ。

5:5.進退のどちらにせよ、潔く勇めば、英断と正解である。取捨のどちらにせよ、深く慮れ、保身と安心である。得失のどちらにせよ、善く放せば、浄化と純化である。道に志しては徳に成るのだ。

5:6.絶対に知ってはならない事・総じて知ってはならない事・知らない方が好い事・別に知らなくても良い事・知った方が善い事・知るべき事・知らなければならない事・知らない事を、誠に知れ。

5:7.正真正銘の信は、決して易しさ・優しさ・親切・寛容等から始まらないし、始めない。その始まりと始める有様は真摯にして厳正、そして精察に厳選、洞察に精選、規律・けじめ・峻別を成す。

5:8.注視しては精察し、客観視しては洞察し、疑問視しては査察し、問題視しては省察して、順境の中の禍根を根絶し、逆境の中の福徳を体得し、(げん)学者を軽視し、衆愚を無視し、哲理を重視せよ。

5:9.三流の取引は、相手の欲を引き出して上手に物を取る。二流の取引は、自身の事業を相手に理解させてその心を引き寄せる。一流の取引は、自身の進取と相手の承引。超一流の取引は、道と徳。

5:10.謙恭や静(ひつ)が相手の情味と印象を好ましいものにし、清潔や自然体が相手の理知と形象を望ましいものにし、質(ぼく)や明朗が相手の鋭敏と心象を宜しいものにする。そして、至誠こそが根本義。

5:11.正しかろうと、巧智が無ければ、途絶が突発する。(かん)策を強行しては人心を収(らん)すれば、功を奏する。悪かろうと、深い互恵が続けば、関係は続く。誠実な互助が続けば、関係は確りと続く。

5:12.確信とは、自ら()く確かめ、そして外界ではなく己自身の徳を信じ、その上、誤謬(びゅう)や過不足の可能性が確実に潜在する事を確りと知り、そして断定してもなお、自ら多く深く問い続ける信念。

5:13.諧謔(かいぎゃ)()富んだ社交家として群衆の好感度を、有言実行の雄弁家として公衆の支持度を、問題解決に挑む運動家として衆望とその信頼度を、力付ける教育家として衆知とその確信度を、上げよ。

5:14.非常に苦しい上に極めて難しい、大変忌々しい上に余りにも嘆かわしい、とても寂しい上に実に虚しい、正に儚い上に本当に空しい…至誠なる挑戦・洞察・大悟・達観の途中だ…継続が実力。

5:15.問題だらけの中で、孤高に問題意識を以て問題解決に取り組み続ける。これだけでも、もう既に最大の問題が解決されている。後は、徳を以て信条を実践躬行(きゅう)して、道を以て信念を貫徹せよ。

5:16.全く以て、正真正銘の美観は、美景でも、美技でも、美貌でも、美形でも、美術でも無く、正に他ならぬ、美徳を有しては、表して、成す人格、そして、中庸だ。誠に、観照しては観想せよ。

5:17.信念を確立しては、信条を実践躬行して、信心を深めれば、誰も信用できなくなるが、誰かに信愛されるようになる。相手の信頼を獲得し、自身の相手への信頼を確定し、相互の信愛を成せ。

5:18.軽んじられる、蔑まれる、嘘を吐かれる、欺かれる、騙される、裏切られる、それが実社会。応じないが崩す、与えるが壊す、続くが変える、それが大自然。(アッラー)は助力だが、決して助けない。

5:19.驚異・奇跡・神業、これらの実現は、(アッラー)の使命に因り、定律が生す変移に由り、遺伝の変異に縁り、環境における悪循環と好循環の影響力の均衡に依り、奇才の徳化の有無に拠る。志を貫け。

5:20.信用されてもそれは利用であり、信頼されてもそれは依存であり、信愛されてもそれは偏愛であることばかり。相手の技能を善用し、相手に動機付けがあるようにして、孤高に道へと進め。


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