宝鑑

第Ⅴ章:空間;3

3.(しと)やかである上に(しな)やかな礼法、(えん)然とした上に()然とした答礼、(かっ)達自在である上に心定理得。

3:1.「理法」。大自然の摂理とは即ち「定律」、これが(アッラー)の示現で、(アッラー)()わって大自然()(かさ)()。大自然()(かさ)()一筋はその従者にして匠者、大自然()(かさ)()『礼』はその随行者にして主者。窮理せよ。

3:2.徳政とは即ち摂政。有徳な人格者として、(アッラー)を崇拝しつつ暦数を、司祭として大自然の司令「定律」を、掌記として大自然の車掌「一筋」を摂行しつつ、常に大自然の太宰『礼』を誠に(なら)え。

3:3.自然法は不可知の不文法であり、実定法は可謬(びゅう)の成文法であり、礼法は不文律の経験値にして経験則から造成された芸術である。暗黙知に実践知と、形式知に無知の知を、遂行と反(すう)し続けよ。

3:4.心法を修め、技法を(こな)して、礼法を体せよ。そうすれば、文法や筆法と話法や論法に実行力が、図法や画法と製法や航法に理解力が、算法や工法と農法や商法に忠(じょ)が、療法と兵法に諒解(Verstehen)が伴う。

3:5.礼節を以て心術に熟達し、礼儀を以て知術を遂行し、礼容を以て話術を改善し、礼義を以て体術を強化して、礼意を以て技術を研磨し、健康美の有る強壮な自信家に成って礼譲と孤高に徹せよ。

3:6.笑顔そして談笑、それが、明朗と相愛に由ろうと、形式と虚飾に由ろうと、智謀と穿鑿(せんさく)に由ろうと、礼はこれらを補完する。礼を以て、純愛への道・処世術の続行・成功の秘策を成し遂げよ。

3:7.弱者達や障害者達に美人達の()()りや嘘泣き、偽善者達や扇動者達に詐欺師達の()弁や(もっ)()らしい快弁、人権屋や政治屋に死の商人の(かん)智や(こう)計等…礼を以て厳戒と即応そして根絶を遂行せよ。

3:8.慎み深くて柔弱だが思慮深くて剛直でもある、これが「外柔内剛」という内政の結実。確かに温柔で思い遣り深いが極めて厳格で冷徹でもある、「内柔外剛」という外政の結実。両者を兼ねよ。

3:9.仁知を以て、抽象的なものを深く究めつつ創造力を確りと自修自得し、礼義を以て、具体的なものの中に安心する未熟な情と具象的なものに依って満足する未達の智を打開して、誠に捨象せよ。

3:10.善くそして美しく生き続ける仁人、正しくそして宜しく挑み続ける義人、多くそして深く問い続ける知者、虚しくそして楽しく覚え続ける勇者。四者に成っては、聡明(えい)知を体現して、示せ。

3:11.性欲を確りと抑圧しつつも知的に徳化すれば、それは恋心に転化し、恋心が成就しようとも喪失しようとも、深く苦しみつつも勇往(まい)進すれば、それは昇華して志学に審美や窮理の道と成る。

3:12.自己保存に生存競争、性交に生殖、そして「子子孫孫」という遺伝。これが生物の、本能の指向・競争の本性・生存の本質。知能の向上・共学の追求・『礼』を以て「徳」という遺伝を成せ。

3:13.能量(エネルギ)()総量は一定不変。真実の中の真実は、「何もかも変わること無く変わり続ける。」。「(あれ)」とは「死」、「(それ)」とは「現実」、「(これ)」とは「意志」。常に学んで、徳を生み、徳を育み、徳を成せ。

3:14.礼義を以て政治主導すれば、官僚政治を終結して、官僚制はその根本義に帰服する。礼譲を以て政治改革すれば、政官財は動機付け(モチベーション)を自得し、産学官民への督励賦活(エンパワーメント)が完遂して、民徳は盛し。

3:15.問題意識を確立して、問題解決学習を続けつつ問題解決に励めば、繁文縟礼(じょく)は激減し、実働は去華就実に成り、人材育成は才徳兼備を成す。この次に目的意識を以て課題解決学習を遂行せよ。

3:16.極めて大規模な上に長期的な、自然災害に人為災害、政経教の大恐慌に致死病の大流行、外戦に内戦等…用意周到で持続的な完備とその補完を成せ。礼を失わず、志を棄てず、学を止めるな。

3:17.まず何よりも最低限度の衣食住を維持できる労働力、次に最小限の教学を続行できる向上心、そして、適正な報酬に生命の保障と、公正な評価に建設的な返礼があり続ければ、万事は解決する。

3:18.「良好で円滑な社会秩序とその多様性の統一的な護持」という目的意識を以て、礼義に学芸を体得してはその人格を完成させ、政法に政刑を遂行してはその実効を向上させ、民徳を収(らん)せよ。

3:19.常に学び、楽しく知り、我を省み、浄めを成しつつ、(たち)()おり、(アッラー)を崇拝して(きん)定し、定律を受容して究明し、世界を探求して善美で(かざ)り、死について徳を以て深く思いつつ、聖徳を遂げよ。

3:20.死者達への哀悼が、実は現実逃避と成ってしまうのか、それとも、やはり確かに温故知新に成るかは、礼の形ではなく礼の心に拠り、そしてその心の、大慈大悲・純愛・仁徳の有無が決する。


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