宝鑑

第Ⅴ章:空間;4

4.民徳の完成が政道の極意、完全競争の実現が商道の奥義、人格教育と生涯学習こそが学道の神髄。

4:1.政経不可分の原理は、必然にして既定の事理である。しかし、政教一致という条理は、極めて重要であると同時に極めて危険である。そして、政徳合一という道理は、理想にして幻想のまま…。

4:2.忠孝は、徳化されて転化した利己心、至忠と至孝は、円熟した十全健康なる自敬。独立して求道し、自由に求知し、求愛して幸福を創るのが至忠、不徳に諸徳で報いつつ誠に自愛するのが至孝。

4:3.人民の敬忠を成すことこそが、治術の本当の目標であり、人民の自敬と忠勤を成すことこそが、治術の本当の目的である。民徳こそが我が正実なる尊師で、民福こそが我が至上の眼福であるのだ。

4:4.防犯教育に防犯対策、刑事政策に軍事教練、綱紀粛正を、克己心を以て、抜本的・徹底的・全面的に遂行しつつ、疑心に警戒心・良心に廉恥心・公共心に公徳心・忠義心に孝心・愛国心を磨け。

4:5.国を忠愛し、警察国家ではなく法治国家を、軍事国家ではなく文化国家を、管理社会ではなく共学社会を、監視社会ではなく相愛社会を実現し、更には、徳治国家と生涯学習社会の実現も志せ。

4:6.国家百年の大計を以て、人生百年時代を創れ。大計とは、格差社会の抜本的で徹底的な是正と、生涯学習社会の実現。機会均等に公明正大、利用厚生に率先垂範、そして盛徳大業を誠に完遂せよ。

4:7.工業化は、確かに経済力の強化へと(つな)がるが、それと同時に、実は組織力の退化も潜在するのだ。生命としての自覚を失わず、動物としての自強を捨てず、文を有する物体として自学を怠るな。

4:8.好奇心そして求知心を以て、価値判断せずに究明し、そして怠けを断絶し、やがて、道徳心や向学心に美意識、そして問題意識を以て、価値判断せよ、(おご)りを根絶しながら、試案と試行しつつ。

4:9.効率性と安全性・能率性と人間性、生産性と公共性・社会性と個性、大衆性と正当性・実在性と観念性を、兼学しては両立させて、脱工業化社会を正しく起こし、善く興し、美しく成すように。

4:10.狩猟採集社会という太古の社会を学び直し、体力に機動力の強化、そして、社会性に協調性の確立を果たすのだ。農耕社会は文明社会の前身であり、(なお)()つその基本である。基本を把握せよ。

4:11.原始社会と未開社会は決して太古の社会ではない。欲を抑えずに流されるがままである社会もまた原始社会。利己的・()意的・暴力的・強制的であれば、文明社会と雖も(いえど)それもまた未開社会。

4:12.無縁社会は、文明社会の自然的で機械的な進展の成れの果てであり、共生社会は、文明社会の自然的で超自然的な進展の成れの続きである。敬(けん)な克己心、そして至誠なる関係性を護持せよ。

4:13.高度な社会意識並びに職業意識及びプロ意識は、実在性を深化させつつそれを美化し、高度な自己意識並びに道徳意識及び美意識は、目的意識を純化しては気化させつつも、それを徳化する。

4:14.詩文に「みんなちがって、みんないい。」とある。実に、巧みな詩作、理解のある詩人、善き詩心、美しき詩情だ!だがそれは未だ駄作・小人・傷心・私情に過ぎない。社会文化的進化を志せ。

4:15.着火と言語こそが、もはや余りにも日常的で、また極めて基本的であり、そして実は最も偉大な人類の遺産である。復習しては、(けい)古して、懐疑し、創造性と知勇に社会性を以て再出発せよ。

4:16.市民運動を革命運動へと発展させて、市民革命を果たせ。そして、農業革命を稽古し、産業革命に政治革命を懐疑し、消費革命に文化革命を再認識し、情報革命に社会革命を確りと是正せよ。

4:17.暴力革命こそが現実であり、平和革命などは幻想に過ぎない。だが幻想を幻想のままで終わらせること(なか)れ。また現実に屈従すること勿れ。現実的でありつつも理想を懐いては追求し続けよ。

4:18.資源の呪いは確かに極めて恐ろしい。だがそれ以上に極めて恐ろしいのが、知識の呪いである。豊富であるが故に却って極貧であり、確定しているが故に誤謬(びゅう)だらけ。謹戒を以て謙虚に成れ。

4:19.博学と知識学を兼学せよ。知り抜いたら改めて()つ新たに知り、知り尽したらより一層深く知り、知の知を確りと得て、無知の知を誠に得よ。真知など無く、浅知が圧倒的大多数、上知が道。

4:20.真理そして真実は在り続け、事実そして現実もまた在り続ける。だが人権はおろか生の大切さと命の尊さでさえ実は皆無。真知そして真価は真に皆無であるのを誠に知って、無から有を創れ。


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