宝鑑

第Ⅵ章:時間;5

5.強制から解放への道は激烈、解放から自由への道は猛烈、自由から自我への道は峻烈、信は壮烈。

5:1.「操守する」、これこそが「開拓」であり、「志操に徳操」、これこそが「開明」であり、「節操を貫く」、これこそが「開放」である。道が開けたら、篤く信じては、深く学んで、善く挑むのだ。

5:2.疲れ果てたよ、苦しみ切ったよ、使い果たしたよ、完全に行き詰ったよ…だがこれこそが本当の始まりである。その始まりをどう終わらせるのか大事である。それを終わらせなければ、無駄事。

5:3.怒りを確りと掌れ。まだ笑うのか?自覚しては、猛省して、更生しろ!まだ泣くのか?克己しては、勇進して、実行しろ!まだ喜ぶのか?痛感しては、洞察して、改善しろ!先難後獲先憂後楽。

5:4.ああ、約束に契約や公約は、強者達・富者達・知者達が奪取・搾取・詐取する為の出発点であり、弱者達・貧者達・愚者達等の希望・苦労・信頼の墓場である…親切・公正・高潔な学者に成れ。

5:5.安易な思考と安直な方法で図っては、安価で多売して、大衆の安心を成し、安逸する。これが圧倒的大多数の富豪達と大富豪達の破廉恥な成功。廉潔を以て、正しい廉価で廉直な廉売を続けよ。

5:6.正直者が馬鹿を見るのが世の常。馬鹿とは、衆愚に隷属や無学とその肯定的な放任、厚かましさに(ずう)々しさや(ふて)(ぶて)しさとそれに対する寛容、(こう)智に(かん)計や(かん)物の悪(らつ)な暗躍とそれに対する(ゆう)和。

5:7.公共心に公徳心、忠誠心に忠義心、自尊心に名誉心、愛郷心に愛国心、道徳心に向学心を以て、共学して修徳し、誠実に道義を弁え、自律しつつ社会化し、懐郷しつつ治国し、積徳と自学を貫け。

5:8.心耳を以て熱誠に声無き声を謹聴し、心目を以て熱誠に字無き字を凝視し、心魂を以て熱誠に(アッラー)に誓約し、徳を以て、謹厳実直を以て精勤し、沈思凝想を以て忠勤し、有意義な辛勤を果たせ。

5:9.「死()(むち)打つ」そして「死体防腐保存」等のような(はい)徳が無いようにせよ。過去は永遠不変で不可逆だ。反躬自省そして教育こそが改正を、徳性滋養そして学習こそが改善を、完遂するのだ。

5:10.至誠なる美学そして芸術は、真理の独創的な模倣に、真実の創造的な解釈、そして、幻想の措定と現実の確認を往来する理想的な遊びと学びにほろ酔いと目覚め。学芸を以て文化を振興せよ。

5:11.もう「愛してくれた」、そして、「愛し合った」に過ぎなくなってしまった…ああ、それでも、いや、だからこそ、愛し続けるのだ、過去形を懐きつつ現在進行形を成しつつ未来形を成す為にね。

5:12.「消えろ」に「死ね」や「殺す」という言葉を正しく聞き流せ。それらはその発言者達の醜い心理と惨めな生活の一部である。そして正しく進退去就を自決し、自尊心を深め、自警を強めよ。

5:13.目的意識の無い競争意識は、深刻な自己疎外を成し、問題意識の無い競争相手は、自己暗示を遂げた取るに足らない者。競争は係争へと、係争は抗争へと、抗争は戦争へと変わる。自強せよ。

5:14.極めて生真面目である上に、実に意欲的でしかもかなり積極的、そして本当に能動的であり、実際に創造的である故に、怠けたり、飽きたり、()んだり、(たわ)んだりする。世を(いと)いつつ徳を厭え。

5:15.誠に愛されることは幸いであり、誠に愛することは福である。有無に死生は(アッラー)の御命令に因る既定であり、動静に得失は徳の創造性に由る新規である。学は徳の道であり、徳を我の道にせよ。

5:16.逃げても亡くならなければ、根本的には大丈夫。逃げても避けなければ、実際的には大丈夫。継いでも続けなければ、実際的には無意味。勝っても利かせなければ根本的には無意味。務本せよ。

5:17.全く以て、乳児達の泣き声にどう応対し、そしてその感覚に何の刺激をどう与えるか、これは、初歩的な養育であると同時に、極めて重大で決定的な影響を乳児達に齎す(もたら)。交信を創造せよ。

5:18.老害は正に(がん)の如く。憎まれてはその死を望まれつつ長生きする等、実に悲惨な晩年である。養老は無駄な義務か重要な義務かであり、敬老は形骸化した礼儀作法か()徳への報徳かであるのだ。

5:19.正しく疑っては、確りと省みて、徹底的に確かめ、そして誠に認めよ。そうすればその結果の善し悪しを弁えられる上に、後々により一層改善することも可能になる。信じたら更に学び知れ。

5:20.信条こそが一義的な目標であり、教条は二義的な参考に過ぎない。信義こそが主要な目的であり、教義は副次的な手段に過ぎない。信念こそが要諦であり、教理は一時的な寄り道に過ぎない。


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