宝鑑

第Ⅶ章:原点;3

3.仁智は生存を実存へと深化させ、礼義は自在を健在へと強化し、信は存在から実在を創り出す。

3:1.何が在るのか?それは(まさ)しく多様性。何が有るのか?それは正しく意とその思考。何を保たなければならないか?それは正しく生命力と学習。何を有しなければならないか?それは正しく徳性。

3:2.消極的ではなく積極的に成って中和を成し、動的ではなく静的に成って中正に成り、経験的ではなく思弁的に成って中間を見出し、受動的ではなく能動的に成って中立を保ち、折衷を完遂せよ。

3:3.表裏の両面を熟知しては、正奇の両道を兼学して、進退の両方を兼備し、そして、陰陽両全を果たしつつ、両極端を究明しては、中道を創造して、それを歩み続けよ。心が道、道が続く道は誠。

3:4.微言大義を酌み取っては、奮励努力を積み重ねて、心定理得を成し遂げ、そして、博文約礼を行い続け、安心立命しつつ初志貫徹せよ。『礼』に委ねつつ苦心孤(けい)に成って、徳善美を体現せよ。

3:5.万有引力に重力と圧力、そして作用反作用の法則、これらが物質界を成立させ続け、有為転変を完遂し続ける無為自然。無為は合目的な無目的、自然は合理的な完全無欠。無為自然を窮めよ。

3:6.「無為」とは「為さずに為る」、「無為を為す」とは「為さずに為す」、「無為に為す」とは「為りつつ為す」、「無為に為る」とは「為れる上に為る」。大自然は合目的で合理的、そして、無目的。

3:7.道は合目的的でありながらも無目的であり、合理的でありながらも非合理である。心は無目的な上に不合理でありながらも、合目的性と合理性をも含有する。礼は、修道しつつ心定理得を成す。

3:8.応激(ストレス)に適応、意識に学習、認識に追究、探究に創造、これらは高度に強化・進化・深化・徳化された、複雑多岐で主体的な生活反応とその知行合一。生体かつ主体に成って、客体に誠に応じよ。

3:9.死生に苦楽、強弱に賢愚、貧富に盛衰、長短に禍福、(アッラー)はそれを御望みに成られた!真正直に成って、真実を追究し、事実を受容し、現実を認識し、そして克己復礼しては、自ら学び続けよ。

3:10.負を負い続けてこそ進歩が成る。正を正してこそ確定が成る。価値判断は真相究明に遥か及ばないが重要であり、判断中止は道への道だが道で非ず。留保から英断を成して、英明(かっ)達に成れ。

3:11.神はいない(アッラー)以外は。孤高に心身を以て礼拝を確立し、無知の知を得ては、誠心誠意を成して、真実一路に成れ。誠に学び続ければ、狂ってもそれは一過性の発病と才気煥発の始まりである。

3:12.(アッラー)はより偉大なり。礼拝を、内向的で個人的な自学、習慣的で無意識的な自習、道徳的で哲学的な自修にして、敬(けん)に成り、神神しい魂を成して、老熟した上に若やかな有徳の人格者に成れ。

3:13.ほとんど相互作用せず、それでいて、自身は働き掛けずに、他が自ら働き出すようにする物と事、これらを「霊」及び「暗黒物質」と「神」及び「暗黒能量(エネルギ)()と名付けて、(げん)徳と幽玄を成せ。

3:14.全く以て、言うまでも無く、言語自体は記号の体系に過ぎず、内容など無く、無意味である。意味付ける者は、欲求並びに意識及び共有であり、意味付けを善く洗練すれば、動機付けも成せる。

3:15.理想と憧れ・真実と虚しさ・事実と苦しみ・現実と悲しみ・死と空しさ・心と儚さ・自我と誇り、礼を以て、誠にこれらを、体系的に集約しては、抜本的に兼備して、学究的に体現するのだ。

3:16.誰も我を誠に愛してくれないのは、世の常である。我よ、「自我」と言う多義的な言葉であり、その多義の一部は、「自ずから(ぐうぜん)生成された中核の代理」・「自ずから(ひょっとすると)脳の幻想と偉作」・「自ずから(ひとりでに)(しる)」。

3:17.確かに個人は組織に帰属するが、実は組織的である事は二義的な要諦であり、逆に個人的である事こそが一義的な要諦である。個人的とは、道徳的で倫理的、主体的で創造的、協力的で心的。

3:18.事を為す者は物、物を動かす者は身、身を働かす者は頭、頭を活かす者は心、心を鍛える者は学、学を成す者は徳、徳を生す者は道。事を成す者は『礼』、学徳を為す者は礼。尽善尽美せよ。

3:19.もし(アッラー)が御望みならば、不可能を可能にする!「死者の蘇生」や「世界征服」に「富貴栄華」等の挑戦ではなく、「食物連鎖の最適化」や「徳治国家の実現」に「兼愛交利」等の挑戦に徹せよ。

3:20.尽忠して活性化させつつ、内向的に成って物性を(ただ)し、外向的に成って心性を正し、直線を成しつつも曲線も成して、曲率を真円と合致させて誠に成り、顕著な美形を成して変化と調和せよ。


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