宝鑑

第Ⅸ章:存在

0.皆無は皆無。永遠そして不変。無限。変化。始終そして時無き時。内と外そして隙間だらけ。道。

1.言葉にするどころか、そもそも意識する、いや、もっと言えば感じた瞬間から既に間違えている。

2.言葉以前に、意識してしまったら、間違いを更に重ねてしまう。だが意識と言葉こそが有意味だ。

3.理解して意識を高め、認識して意識を深め、実践して意識を強め、経験して意識を磨いていく徳。

4.火は急激な化学反応とその状態そして現象で、決して物質ではないが、確かに物質から発生する。

5.意識もまた化学反応とその状態そして事象で、決して物質ではないが、脳と神経で成立する物事。

6.唯物は確かに正解だが精確ではない。唯心は強ち(あなが)間違いではないがやはり間違い。生命は奇天烈。

7.唯名論は正しい狭義を有し、実念論は確かな広義を有し、観念論は人生を修飾し、実在論は開通。

8.妄想も理想も幻想も、無いものを追求する故の所産。それを現実化するのが、芸術・科学・徳性。

9.認識以前に知識が、知識以前に意識が、意識以前に感覚が、感覚以前に外物が在り、内界も在る。

10.境界そして相異が在るから「世界」と名付け、相違そして状態が在るから「変化」と名付ける。

11.「儚さ」という回顧と感性・「虚しい」という悟得と知性・「空しい」という達観と心性、三観。

12.観想しては、観照して、観察した後、心界を調教しては、物界を調節して、感性界を調整せよ。

13.真実は、実際は至近だが、本当に至遠。感覚器官と神経は合理的、脳は合目的的、意識は合成。

14.確かに孤独は危険だ、自己保存の成功確率を以て考えれば。しかし孤独こそが自己保存の本格。

15.不合理もまた合理であり、無目的こそが合目的である。窮理と求知こそが、本能の奥義と神髄。

16.無言・無生・無意・無知・無情・無心・無限そして無窮、これが永遠偉大なる不変の一者の道。

17.(アッラー)はより偉大なり。(アッラー)は合理な上に合目的、(なお)()つ、有理でありつつも無目的の無為超自然。

18.希言自然・視生如死・意趣卓逸・先知先覚・深情厚誼・虚気平心を有する有機体に成れ。有為。

19.命数を認めつつも改変せよ。有為自律は無為自然の陽気、無為自然は有為自律の道、陰気は徳。

20.合理な上に有理で、合目的でありつつも無目的、これが「無為」。大自然は統一性を有した虚無。

21.至情は不情、そして、至理は不合理。究極の情は自律した自学する自由の能量(エネルギ)で、()至理は無因。

22.全く以て、仁知で人は人に成り、学徳が人を人たらしめる。本は求愛に求知、道は学業に徳業。

23.本筋は徳性滋養であり、これが本道を確立させつつ完成していく。純愛そして知徳合一は偉業。

24.開放的が即ち知的で美的であれば進歩するだが、即ち本能的で利己的であれば退歩してしまう。

25.適時に閉鎖的であれ。閉鎖的が即ち、哲学的で道徳的、学究的で科学的であれば、それも進歩。

26.補助される事は稀であり、解放される事は極稀であり、徳化される事は滅多に無い。自救せよ。

27.知命が救命の、愛民が救民の、愛国が救国の、警世が救世の、起点にして基点で、要点は学徳。

28.探究心と冒険心で哲学的に、向学心と自尊心で道徳的に、向上心と公共心で倫理的に成るのだ。

29.知的な上に学究的、哲学的で内向的、道徳的で美的な私生活を送って、外向的で社交的に成れ。

30.志学そして道徳心で私生活を充実させては向上させ、知的な気位と世俗的な適応を両立させよ。

31.本能と学徳から美的感覚を創造し、美的生活を私的に送り、定律を究めて美的快感を自得せよ。

32.数多の知徳を自ら積み重ね続けて存在を()びて、数多の学徳を自ら積み重ね続けて心が寂びる。

33.侘び寂び、この、超越的で哲学的な悟性、抜本的で道徳的な理性、世界的で美的な感性を磨け。

34.感性は感覚と知覚に意識の習慣的な所産、理性は認知と論理に認識の合理的な所産。鍛錬せよ。

35.悟性は存在の形式と内容、そしてその本質を探究しては追究して究明する、知性と徳性の合一。

36.物の哀れ。万物は、実際は無価値、本当は無目的、全く以て無駄、どうであれ再び無へと還る。

37.「私は何者に成ろうか!?」という野暮を超克し、道と調和しては一体化するという粋を成せ。

38.「私は何者でも無いのだ…」という粋に到達し、至誠を以て(アッラー)を崇拝しては畏れて、自敬せよ。

39.存在は存在、だが実在はそのままでは実在ではない。「そのまま」とは、屈従した自然体である。

40.実りある有機体、それは自己意識そして自己認識の有る者で、実りある生命体、それは有徳者。

41.存在は無限、生存は有限。既存の能量(エネルギ)()現存する思考。死は厳存し、本当に残存するのは物質。

42.存在自体に対する、無知は盲従、無関心は隷従、()意は屈従、悲嘆は忍従で、適従は生涯学習。

43.永遠不変、これが(アッラー)の真理の体現。生涯学習、これが有徳な人格者の(アッラー)への臣従とその模倣。

44.無為自然、これが万物流転を成し続ける定律の神業、有為自律、これが自己調整学習とその道。

45.国家及び社会並びに生活の利益そして青少年達及び中年達並びに老年達の幸福を、徳政で成せ。

46.政治的そして経済的な集合的無意識と、知的そして文化的な個人的無意識は、学徳で誠に成る。

47.意識に習慣、更には教育に経済、そして政治に文化が構成している。意識改革しては再構せよ。

48.知的に時事を知り、意識的に私事を省み、意欲的に公事を慮り、実践的に学事を成し、鑑みよ。

49.定律は(アッラー)の鏡、その反射は自然法則並びに自然現象。鑑は鏡から生じた徳性とその修錬の結実。

50.至宝は徳性滋養、宝物は頭脳明晰、宝(やく)は博学篤志、宝箱は沈思黙考、宝箱は沈思黙考である。

51.宝庫は自学自習、宝輿()は従容中道、宝刀は克己復礼、宝灯は温良恭倹、宝(たく)は敬教勧学である。

52.宝石は志士仁人、宝飾は知行合一、宝冠は才徳兼備、宝位は功徳兼隆、宝()は徳高望重である。

53.宝器は平気虚心、宝典は実事求是、宝殿は自主独立、宝()は盛徳大業、宝鑑は有徳な人格の道。

54.宝鑑は人格教育と自己実現の完遂、自己教育と自己調整学習の遂行、生涯学習とその初志貫徹。

55.血縁ではなく心縁で、遠祖達を敬愛しては、遠孫達を恵愛して、遠戚達を信愛し、徳を垂れよ。

56.地縁ではなく良縁で、老年達から教わり、中年達と共に働き掛け、青少年達を学ばせ、愛せよ。

57.遺伝は、本能的で肉体的と物質的なもの、そして学究的で精神的で文化的なこともある。進め。

58.全く以て、遺徳こそが最も偉大な遺伝の一つ、それを遺愛に遺教そして遺志に遺業と遺伝せよ。

59.中核が在り、我も在る。我が、思考と懐疑に慣熟、学習と意志に熟達すれば、自我が成立する。

60.無意識は生命化された能量(エネルギ)()超自我は能量(エネルギ)()自己組織化の過程で完成した創発、前意識は技能。

61.下意識は記憶であり、自己意識はあらゆる意識に対する根本的な意識、及び自存の起点と基点。

62.感覚的とは、肉体的で感情的そして経験的で主観的。理性的とは、知的そして論理的で数学的。

63.理知的とは、合理的で合目的的そして科学的で客観的。実践的とは、意欲的に現実的で実際的。

64.直感的とは、実践的で経験的な上に習慣的で技術的、そして理知的かつ感覚的な上に、学究的。

65.群居本能の建設的な否定と道徳的な肯定、そして社会性の知的な高度化と抜本的な深化を成せ。

66.本能と本性を克服かつ洗練して、自我関与という観念を自ら確立し、そして主体的に護持せよ。

67.自己意識と社会意識、道徳意識と規範意識、問題意識と目的意識、当事者意識を高め(かつ)深めよ。

68.「高める」とは「学識の有る経験の蓄積」で、「高まる」とは「抜本的に進歩的に活性化する」。

69.「深める」とは「窮理そして理解の遂行」で、「深まる」とは「内容と本質で創発が多発する」。

70.認知は主に頭脳そして心理が成し、認識は主に精神そして意志が成す。意識は正に無形の事象。

71.運動に化学反応、無秩序に自発的秩序形成、生活反応に学習、続く分化、これらが意識の内容。

72.何よりもまずは認知機能を、活性化させては、高度化させて、合理化させるのだ、知行合一で。

73.最終的に必ず自己認識を、抜本的に確立しては、持続的に鍛練して、徹底的に護持せよ、徳で。

74.言語という音並びに記。音即ち振動という無形こそが先で、形即ち固体という有形は後である。

75.音声を調節し、音質を改良し、音韻を豊かにし、音響を美化して、修飾し、明記し、実行せよ。

76.体内も体外もその初めは液体と軟質の個体で、感覚界そして精神界の初めは言語で、成立する。

77.硬質は強いが終わりでもある事は多く、硬質は弱いが始まりでもある事は多い。誠に認識せよ。

78.硬化が形骸化ではなく強化、軟化が弱体化ではなく良化に成るよう、意識改革と()言善行せよ。

79.分化に複雑化と多様化が実は悪化に成ってしまう事は甚だ多い。道こそが秩序、徳こそが統一。

80.「性格」と言う言葉。「正しい」とは社会的で規則的、「格しい」とは合理的で合目的的である。

81.性とは、(アッラー)の御命令及び定律が定式化した道筋並びに一定化されては保存された熱運動である。

82.性は確かに根本的だが実際は無力であり、物は全く以て世界的に常在するが同じく無力である。

83.全く以て、最も根本的かつ即物的な本性は知性で、最も根本的かつ建設的な物体は脳髄である。

84.適度で高くて良い質の運動と食事に睡眠そして円滑で真正直な相互通信(コミュニケーション)を以て物を(ただ)していけ。

85.知を現実と一致させる、これが徳教に知徳と学徳の根本義の一つ。現実を学び知りつつ生きよ。

86.何はともあれ、現実の中で生きなければならないのだ。いつまでも逃避や否定せずに学ぶのだ。

87.どうであれ、結局のところ、正に他ならぬ現実こそが、最終的そして根本的な基準であるのだ。

88.物を(ただ)していく中、徳化しては、教化して、感化し、純化もすれば、知が現実と一致していく。

89.知が現実と一致し続ければ、物は(ただ)しく成り、やがて物は知を極点に致し始めつつ理気を知る。

90.物並びに知が理気に(いた)れば、意は誠に成り、心も正しく成り、やがて、至誠そして至正に成る。

91.心理が現実に正しく適応しているかどうか、心性が真実へと向かっているかどうかが、分岐点。

92.心気が狂気か正気か、心性が良性か悪性か、心理が正常か異常か、その判断基準は、徳と現実。

93.意を誠にしては、心を正して、身を修め、そして徳を修めつつ、基準を以て、規準を確立せよ。

94.規準は正に他ならぬ「生命への畏敬とその尊愛」で、健全な自己保存と持続的な関係を遂げよ。

95.集団意識そして集団生活、社会意識そして社会生活、自己意識そして私生活、三者を兼備せよ。

96.組織そして共同体への帰属意識及び忠誠心と、徳そして道からの規範意識及び自尊心を遂げよ。

97.大自然という大宇宙・心という小宇宙・徳という中宇宙。修徳しては正心して、大悟徹底せよ。

98.創発を成して、「超個体」という想念、「有機体論」という理念、「共存共栄」という思念を成せ。

99.意識は内界の事象と脳の化学反応の所産に過ぎず、意味は解釈そして仮定の所産に過ぎない虚。

100.無意味という世界の内容と変化の行く末を悟って、意識と言葉は有意味であることを創り出せ。

101.社会人そして有識者に成り、知識人そして有力者に成り、文化人そして有徳者に成って、学べ。

102.「性格」は合理的な不合理そして合目的的な無目的で、情理に教学、道徳に善美がこれを(ただ)す。

103.「人格」。この有徳は、誠に相思相愛の絆を確立しては護持して、(アッラー)に屈従せずに臣従する道。

104.全く以て、人格者とは、奉公する有識者・審問する有力者・博愛する有徳者・窮理する有道者。

105.誠に最期まで(アッラー)の謀臣・良臣・忠臣・賢臣・重臣・老臣・名臣であり続ける、これが人格者。

106.良心を発揮し、忠(じょ)を貫徹し、賢明を体現し、重責を遂行し、老巧に成り、深謀遠慮する学名。

107.有道とは、人格者の生涯学習の実践躬行(きゅう)であり、この初志貫徹こそが(アッラー)の道の独創的な模倣。

108.「地球」と言う、我等人類とその他のあらゆる全ての生命の生誕地にして死地を、大切にせよ。

109.大自然の奇跡は生命の誕生とその進化で、奇跡の中の奇跡は、脳と意識の発生とその複雑多岐。

100.奇跡劇は、人類の遠祖達以前の遠祖達の二足歩行の開始と、以後の遠祖達の着火と言語の発明。

111.石器の発明と農耕の開発、そして文明の創造は、奇跡劇に続く奇跡劇と、悲劇と惨劇の始まり。

112.全く以て、武器は必要不可欠な危険物で、武徳は重要不可欠な徳及び文徳の所産にして従属者。

113.生存競争に自然(とう)()、そして戦争は、正に万の生命達の父の如くで、平和はそれらの母の如く。

114.戦争と平和という父母の子は「生命への畏敬とその愛護」であり、その孝行は「調和」である。

115.「軍神」は「文徳と武徳の兼備とその神髄」。文は政教、武は強力。利己の政経が戦争の原因。

116.戦争の根絶は絶対不可能。その因果関係と歴史を理解しては、痛嘆して、猛省する孝子に成れ。

117.戦争の忌避ではなく覚悟、平和の熱願ではなく深愛、生命感情の鍛錬に洗練、これが文武両道。

118.死は厳然たる当然の終点と続きの始まり。全く以て、万の生命の宿命は()烈で、その道は儚い。

119.気、気、気。万は、気から生じ、気と為し、気で成り、気で崩れ、気で壊れ、気へと還る欠片。

120.(アッラー)はより偉大なり。全く以て存在は謎そして道。有徳な人格は合理的(かつ)合目的で無為超自然。


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