宝鑑

第Ⅺ章:慣行

仁)利己心は、確かに生命活動の最重要な本質でありながらも、実に不健康な生命力の本性である。競争は生態の変化の形式であり、闘争は生態の変化の激化であり、生死は生態の変化の因果であり、均衡は生態の変化の内容であり、遺伝子は一定化と保存された熱運動、遺伝は高度化された熱運動。

⑴自制しては、自制して、克己し、そして自重しては、自戒して、自壊し、自分自身を創り出せ。

⑵利己心の健全化、これこそが道の本。自尊心の純化、これこそが徳の本。二本柱を確立せよ。

⑶苦しみを学びへと変え、苦しむが即ち学ぶであるようにし、苦を発展的(かつ)学究的に解消せよ。

⑷適度なストレスとは何かを、誠に確りと学識と直感で学び知り、そしてそれを自得し続けよ。

⑸笑いに喜びや楽しみを醇化(じゅん)せよ。その回数の加増ではなく、その理由の改善を誠に遂行せよ。

⑹怒りに憎しみや怨みを転化せよ。自身の進歩の為に赦すのだ。後は相手の良心の有無に委ねよ。

⑺愛する大切な者達との永別は、最大の苦の一つ、そして最高の美の一つ。深く悼んで愛を貫け。

⑻仕事の終着点は克己奉公で、その真正な報酬の自己実現。純愛は奉仕で、相愛は道。愛を育め。

⑼物質に服従し続ける事・本能に隷従し続ける事・定律に盲従する事・(アッラー)に屈従する事(なか)れ。

⑽愛される事は、確かに幸甚の至りだが、副次的な事とし、愛する事を人生の根本義とするのだ。

義)無生物は、理に完全に忠実であり、性に完全に統率され、質に完全に固定され、熱に対して完全に受動である、数量の有した有形である。脳を有した文の有る生物は、理を窮めるという物理を、性を活かすという物性を、質を変えるという物化(そうはつ・そうぞう)を、熱を調えるという物心(ものごこ)()、自ら有する。

⒈たまには大雑把でも好いし、力を抜いても良い時には抜け。だが最終的に几帳面に成って成せ。

⒉評判よりも品格を、利益よりも名誉を、関係よりも自身を、誠に自ら確りと堅守するように。

⒊不正に不合理、理不尽や無秩序もまた、最適化の要素にして過程であることを再認するのだ。

⒋正に他ならぬ自己批判こそが、正義の中の正義であることを、誠に自ら確りと復習し続けよ。

⒌疲労や苦悩、失敗や挫折、そして、事実上不可能である事の認識を、数多く積み重ね続けよ。

⒍疲れを正しく溜め、休みを確りと取り、恐れを正しく懐き、勇みを確りと鍛え、自強し続けよ。

⒎自衛の為の迎合や同調、優しさ故の虚飾や嘘吐き、妄想や無関心は必要。だがいつか根絶せよ。

⒏生き続けよ、知り続ける為に、学び続ける為に、愛し続ける為に、挑み続ける為に。自敬せよ。

⒐容易く頼ること(なか)れ。無理し続けて独りで成そうとすること勿れ。協和と協働に自律を目指せ。

⒑潔く退き、そして安全に去れる、上手に避け続け、そして完全に逃げ切る、この知勇も持て。

⒒偉大な大義名分でさえも超克する抜本的なな義理人情も兼備せよ。道に志す義こそが本義だ。

⒓感謝の気持ちと、深謝の情念を知的に懐き、恩怨を理知的に取捨選択して、徳を以て報いよ。

⒔成さなければならない諸事を自決して決行せよ。決定者は本能ではなく道義心とその直感だ。

⒕死を、厳然たる事実として、厳然とした誠心誠意を以て粛粛と向き合って、厳粛に学び知れ。

⒖世界には万が在るが、道には何も無い、自分自身以外。この矛盾した観念を以て勇むように。

⒗自ら、逸早く始め、また力強く続け、そして勢い()く成し遂げ、そして休んだら新たに挑め。

⒘止まるな、到るまでは。諦めるな、尽きるまでは。終わらせるな、命数が明らかに成るまでは。

⒙賢さを、渡世ではなく徳に、強さを、業績ではなく誠に、正しさを知ではなく道に、教われ。

⒚力強く忍耐を続ける中、思慮深く模索し、勢い能く挑戦を続ける中、清く潔く去る準備をせよ。

⒛誠実な恩恵と巧妙な偽善に巨大な欺(まん)を熟知し、そして時が来るまで隠忍自重と猛省し続けよ。

礼)全く以て、「一道に因る円い一筋」が宇宙を宇宙たらしめ、そして、『礼』が無目的である全世界を合目的な道にし、分化し続けては、複雑化し続けて、多様化し続ける様を、統一的な道にする。

⓵誠心誠意を以て元気(はつ)(らつ)に挨拶を交わし合い、そして相手意識と自己意識を以て会話を始めよ。

⓶自然体と力強さを以て礼儀正しさを体現せよ。本当の美容そして美化の道である礼を実行せよ。

⓷強くなるとは、外界では誠に礼儀正しく成り、内界では自身を誠に知るということ。自強せよ。

⓸誕生を祝っては、長生きを願って、成長や成功を喜び、そして死を悼み、礼を愛の美形にせよ。

⓹助けるだけではなく棄てるのも、賞するだけではなく罰するのも、礼。必ずや両面を兼備せよ。

()びではなく請いの、諂い(へつら)ではなく謙りの、偽りではなく実りの、礼儀作法を学んで成すのだ。

⓻あくまでも一時的に忘却や隠蔽を為すだけであり、着実に問題に解決する為の礼を、履行せよ。

⓼礼で、社会生活が家庭生活を損ない、家庭生活が私生活を消し、精神生活が滅ぶ事を阻止せよ。

⓽善き礼は()蟠り(だかま)を力強く抑制しつつも、抜本的に減少させ続け、そして最終的には消滅させる。

⓾全く以て、(アッラー)への至誠なる礼拝は、無意味・無意義・無価値・無目的、そして有徳で有道だ。

智)本能は遺伝と脳の拙作、知は代謝と脳の良作、智は頭脳と意志の名作、悟りは心理と精神の大作、上知は心神と魂の傑作、徳は人格と学習の偉作にして創作、道は知徳と学徳の佳品にして偉業。

❶時事問題に対して社会的な興味や関心を懐き、そして建設的で生産的な深思や熟議を行うのだ。

❷社会問題を軽視や無視する事、難解な哲理や無駄な窮理を蔑視する事(なか)れ。無知を危険視せよ。

❸世道の為ではなく、自敬の為に学習せよ。そして、世界に見渡しつつ挑戦し、自己実現を志せ。

❹意識が外界に惑う、判断が外物に依る、思想が幻想に(ふけ)る、実力が貪欲に従う、これらを壊せ。

❺死の可能性は潜在・遍在・常在している事と、一つの生は厖大な死者数に依って続く事を学べ。

❻知ろうとしない・学ぼうとしないことを正当化すること(なか)れ。それらが正答であることは稀だ。

❼徳を以て独りで、憤っては、嘆いて、苦しみ続けよ。高貴な独学に苦心孤詣そして至徳不孤だ。

❽私は果たして何者であり、何とどこへどう向かい、そしてどう死ぬのか?これを自問自答せよ。

❾知らされ続けるのは、自然で至極当然だ。だがいつまでもこの稚拙に甘んじずに、疑問を懐け。

❿物が醜いからと言って事に逃げる事(なか)れ。形が有限だからと言って心に入り浸って耽る事勿れ。

⓫全く以て、多大な刺激に猛烈な快楽そして恍惚(こうこつ)は…全く苦しまない苦しみだ。健康を自得せよ。

⓬言語と概念、心理に精神、自我に本能、これらをも超越し、虚無的な留学を果たして帰還せよ。

⓭意識の改革、生活習慣の改善、方針の改正、道筋の改定、そして人生の改新、この道を続けよ。

⓮進め、世ではなく道に。成せ、業ではなく徳を。不朽の名も字も無い、不尽の道を誠に観よ。

⓯「会心」が「丹念」であり、「会得」が「丹誠」であり、「会議」が「丹精」であるようにせよ。

⓰現実こそを最終的そして根本的な基準に、有徳な人格こそを最終的そして根本的な規準にせよ。

⓱妄想を理想へと変え、理想が幻想であるという正しい認識を変えずに現実的(かつ)建設的に生きよ。

⓲利己的は自然的そして危機的で破壊的。利他的は世界的そして知的で美的。主従を逆転せよ。

⓳自己教育と人格教育を以て生命への畏敬を深めつつ、有徳な生涯学習を以てその愛護を貫け。

⓴道は実は心、道は正に他ならぬ生涯学習、道は結局の所現実。道から道を以て道を作り替えよ。

信)真に在り、やがて実に有し、そして誠に有する。こうして初めて、個人が本当に成る。多く集まり、やがて確りと連なり、そして実際に(つな)がる、こうして初めて、組織が本当に成る。基は信実。

①自己保存と社交性を鍛錬せよ ②欲を精錬せよ ③善美なる挨拶を成せ ④信義誠実を貫徹せよ

⑤自分自身を見直し続けよ ⑥関係そして環境に対して主体的に成れ ⑦苦しみつつ知り学び行え

⑧勇ましく進退取捨せよ ⑨有限を再認識せよ ⑩修道と修徳せよ ⑪一貫性と柔軟性を兼備せよ

⑫知ったら問え ⑬正しく疑え ⑭知り尽くせ ⑮突き詰めよ ⑯徳に師事せよ ⑰道に従事せよ

⑱無駄を無くせ ⑲始終と本末を悟れ ⑳無知の知を得よ ㉑死を深く悼め ㉒生を深く愛せよ

㉓真実一路 ㉔徳性滋養 ㉕知行合一 ㉖熟慮断行 ㉗名実一体 ㉘実事求是 ㉚物心を両得せよ

㉛自発 ㉜自主 ㉝自律 ㉞自立 ㉟自助 ㊱自救 ㊲自強 ㊳自学 ㊴自愛 ㊵自尊 ㊶自敬

㊷精勤 ㊸忠勤 ㊹献身 ㊺奉公 ㊻円熟 ㊼慈愛 ㊽慈善 ㊾養生 ㊿自己実現並びに生涯学習


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