徳九倍層

『徳九層倍』:上篇「実事求是」;上章「政治」〔愿而恭〕(⒕-⒛)

⒕政治・経済・軍事等にも、芸術はあるのだろうか?この疑問に対する正解は、「(もち)論」ではなく「極稀に」ある。芸術の極致は、究極の否定を以て真正な肯定を成して、至誠なる心神を以て善美なる事物と物事を大人物として遂げることであるが、政治・経済・軍事に関して、その否定はより一層猛烈かつ高貴でなければならない。生命力の複雑多岐なる強大化とその進化した力である「力への意志」を確りと有しては誠に研磨しつつも、それを抑制に統制しながら否定して、無私無欲な権力者として権力を善用する政治を成せ。そうすれば、利欲が発展的解消しては、道義心が成って、経済が健全化していく。そして、強大な軍事力を有する平和主義と国際協調主義も完成するものだ。

無気力(アノミー)そして自己疎外に対する抜本的な対策の一つが「人本主義の理論的な確立とその実践的な()(えん)」であり、そしてその画期的な解決策の一つが「徳治主義の哲学的な確立とその科学的な敷衍」である。「理論的」は「学術的」だけではなく「実社会や実生活そして実例更には実理に即する『知的』」でもあり、「実践的」は「経験的」だけではなく「省察や内観そして主体性さらには自然(とう)()という大自然の法則に対する深い理解力を有した『学究的』」でもある。「哲学的」は「政治的」つまり「利他的」であり、「科学的」は「現実的」つまり「実証的」である。知行合一を成すのだ。

⒗政治哲学が、理論哲学だけではなく実践哲学でもあるように実際的に完成するのが、政治学の最も重大にして重要な課題の一つ。教外別伝を以て道を出現させて、事上磨練を以て徳を体現しつつ、反躬(きゅう)自省を以て徳倫理を実現しながら、政界の浄化・粛正・再生を実現していき、その高潔を以て、経済・教育・軍事をはじめ、諸事に対する決定的な好影響を齎し(もたら)ては、文化に善美なる成果が続出するようにして、「民徳が国基・愛民が国是・民福が国宝・教民が国防」という名実一体を築き上げ、そして、功徳を成しては、美名を遂げて、勇退するのが、天道に倣った人道的な政治家の偉業。

⒘理想は「『政治的』とは即ち『利他的』」であるものの、現実においては、それは理想に過ぎないどころか、幻想である。現実はこうである、「『政治的』とは即ち『利己的』」と。「経済的」も同様であり、そして「教育的」もまた、それに「『政治的』に盲従する『消極的』」である上に「『経済的』に隷従する『受動的』」であり、また「『功利的』に屈従する『形式的』」である上に「『組織的』に依存する『()意的』」である。しかしだからこそ、批評家そして理論家であるのを止める事(なか)れ、そうであり続けるのに加えて、実践家及び行動家並びに活動家に成り、そして運動家に推戴されよ。

⒙熱誠な改革者への()(ぼう)中傷に妨害や排撃、果てには陰謀に拠る抹殺など、逆説的に言えば、騒乱罪・内乱罪・反逆罪を成した逆クーデターと考えても、強ち(あなが)間違いではない。これは、本物の愛国心と正真正銘の愛国を本当に遂行する志を懐く右翼即ち保守主義の国士達の教戒の一つ。その逆も然り、病的な私情・恣意的な私意・暴力的な私見を以て、善美なる歴史的な文化を曲解しては、猛攻して、それが崩壊することを喜び、果てには殺人を正当化するなど、大罪だ。これも、本物の愛国心と正真正銘の愛国を本当に遂行する志を懐く左翼即ち進歩主義の国士達の教戒の一つ。両極端を斥けては、両翼の建設的で協力的な政争を成して、熟議と熟慮に政績を遂げるのが、神君の神業。

⒚礼儀作法に娯楽そして芸術の変化を観察しては精察し、その内情を洞観しては内観するのが、多くの実りがある上に深い影響力を成す政見を持つことと成る。巧妙な虚礼の一般化は、国家の衰退と人心の荒廃の兆しであり、けじめを全て失った逸楽の激増は、その両者の始まりであり、完全に商業主義に走った芸術の多発と続出は、その両者の加速と展開である。本当の喜楽は少ないものだ。

⒛愛国者達の輩出と参政の補完を誠に成し遂げ続ける政治塾は、組織的な国師である。批判的で建設的な政治小説・正しい(ふう)(かん)と巧みな正論に満ち溢れた政治漫画・真()な迫真の政治演劇等は、自由民主の傑作と佳品に偉大な劇である。実情の籠もった実情に基づく実直な抗議の文に詩や歌等は、有効な良薬と教育愛の有る鬼教官の如くである。師事・()納・薬用・精練する元首は救国を遂げる。


開物成務をもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

コメントを残す